産後のママさんから「授乳中に肩がズキッと痛む」「肩が上がらなくて洗濯物が干せない」などのお声を聞くことがよくあります。授乳や寝かしつけだけでなく、泣き止まない赤ちゃんをずっと抱っこしていて肩がパンパン。それが続いて肩が痛い、気が付いたら腕が上がらないといった状態がいわゆる「ママ肩」です。今回は肩こりが悪化して肩が上がらなくなる理由とその改善策についてお伝えしていきます。
肩が上がらなくなる原因
①腕の使い過ぎ
肩とは腕が胴体とつながる部分で、肩甲骨のくぼみに腕の骨の上部の丸い部分がはまり、肩関節を構成しています。それを多くの筋肉や靭帯が支えることで様々な方向に動かすことができるのですが、腕の使い過ぎで筋肉疲労が起き、肩が動かしにくくなります。
②姿勢の悪さ
赤ちゃんのお世話は前かがみが多く、重い頭や腕を支える筋肉が常に緊張状態にあることも原因の一つです。この状態を放置していると肩の動く範囲(肩関節の可動域)が狭くなり、腕を上にあげたり後ろに回すなどの日常動作に影響が出るだけでなく、痛みで眠れないなどの辛い状態になることもあります。
肩を上げるための主な筋肉
①僧帽筋上部
首から背中を覆う大きな筋肉の上部繊維で、肩を動かしたり肩甲骨を上に持ち上げる作用があります。
②三角筋
肩全体を覆う筋肉で、腕を前や横にあげる作用があります。
③肩甲挙筋
肩甲骨上部から首についている筋肉で、僧帽筋上部繊維とともに肩甲骨を引き上げる作用があります。
④棘上筋
肩甲骨の上部と腕をつなぐ筋肉で、肩関節を安定させ、腕の動きをスムーズにするために重要です。
肩の筋肉の簡単ストレッチ
(1)肩関節振り子運動
①テーブルなどの横に足を肩幅程度に広げて立ち、片手をのせて軽く前かがみになる。
②反対側の腕をだらんとたらし、前後に10回、左右に10回、最後に円を描くように10回回す。
※呼吸を止めないようにして、肩の力ではなく体の重みと少しの反動で動かすのがポイント。慣れてきたら500mlペットボトルを持って行うのもよい。
(2)タオルストレッチ
①右手でフェイスタオルの片端を持ち、腕を上げて背中にたらす。
②左手でタオルの反対側を持って下方向に引っ張る。
③反対も同様に行う
※痛みがあるときは無理をしない。
(3)肩甲骨のばし
①片腕を背中に回し、手の甲を腰あたりに置く。
②反対側の手で肘の下あたりを持って内側に引っ張る。
※肩が前に出たり前かがみにならないように、胸を開き背筋を伸ばして行うのがポイント
その他のケア方法
(1)姿勢に注意する
無理な姿勢で家事や育児を続けていると筋肉に余計な負担がかかります。うつむきすぎない、肩を丸めない、坐骨を立てて座るなど、正しい姿勢を意識してみましょう。
(2)腕を使い過ぎない
①抱っこするときは、自分の体に添わせるようにして、腕だけで抱っこしない。
②食洗器や洗濯乾燥機、お掃除ロボットなど、家事を軽減する器具を有効活用する。
③自分ひとりで頑張らず、家族や育児の専門家にゆだねる。
(3)肩や腕を冷やさない
筋肉は冷やすと固くなるので冷えないように注意する。湯船に肩まで浸かって温めるのもよい。
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