産後のママさんから「産後、股関節がグラグラしてうまく歩けない」「股関節が詰まった感じで動かしづらい」「立ち上がるとき、ズキッと痛むことがある」などのお声を聞くことがあります。産後になぜ股関節に不具合が起こるのかについてくわしく説明していきます。

股関節の構造

股関節は、大腿骨(だいたいこつ・太ももの骨)の骨頭という丸い関節が、骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう・受け皿のような関節)にすぽっとはまるような構造をしています。関節の表面は軟骨でおおわれ、衝撃を吸収したり関節の動きをスムーズにする働きがあり、さらにたくさんの筋肉や靭帯によって補強されています。
股関節の役割
①体重を支える
立っているときや歩いているとき、体重を骨盤から大腿骨に伝え、体を安定させます。
②様々な動きを可能にする
股関節は前後左右上下に動かすことができ、立ったり座ったり、歩いたり走ったり、踊ったり、また腰を曲げ伸ばしするときの下半身を固定する役割もあり、日常動作のほとんどで働きます。そして24個もの筋肉が強調し合って股関節のスムーズな動きを作っています。
産後の股関節の不具合の原因
①ホルモンバランスの変化
出産に向けて骨盤を緩ませる「リラキシン」というホルモンの影響が産後も続くため、骨盤が不安定になり、それを無理に支えようと股関節周りの筋肉が頑張ることになり、痛みが出たり動きが悪くなります。
②骨盤の開きと歪み
出産時に大きく開いた骨盤が、育児などの無理な姿勢によって正しい位置に戻らないことで股関節に大きな負担がかかります。
③筋力の低下と育児動作
妊娠・出産によって腹筋や股関節を支える筋肉が弱くなり、授乳やおむつ替えなどの動作を繰り返すことで痛みや違和感が生じやすくなります。
放置するとどうなる?
①痛みが慢性化する。
②足の付け根にしびれや違和感が出る。
③あぐらや正座が辛い。
④腰痛や膝痛につながる。
⑤骨盤の歪みが悪化する。
股関節の不具合を改善するには
姿勢を正しくする
①背筋を自然に伸ばす…耳-肩-腰-かかとが一直線になるように意識して猫背や反り腰を改善しmす。
②骨盤を立てる…椅子に座るときは腰を丸めずに坐骨(お尻の下の尖った骨)を立てるようにします。
③足裏全体で体を支える…つま先やかかとにかたよらずに足裏全体で立つようにします。
骨盤の歪みを招く座り方をしない
足を組む、あぐらをかく、横座り(お姉さん座り)する、片方の足に体重をかけるなど日頃のくせを見直しましょう。
股関節周りのストレッチ
膝抱えストレッチ
①仰向けに寝て、片膝をゆっくり抱える。
②息を吐きながら胸の方に近づけ、お尻の筋肉を伸ばす。
③反対側も同様に、各10回行う。

(2)梨状筋、臀筋ストレッチ
①仰向けに寝て、両膝を立てる
②片側の足首を反対側の膝の少し上に乗せ、両手で膝下辺りを抱える。
③息を吐きながら足を胸の方に近づけ、10秒キープ(呼吸は止めない)。
元の位置に戻して反対側も同様に行う。

股関節外側ストレッチ
①膝を曲げ坐骨を立てた状態で座り、後ろ手で支える。
②片足ずつ膝をゆっくりパタンパタンと倒す。(股関節の外側がじわっと
伸びているのを確認)。

大腰筋のばし
①片膝を床につき、もう片方を前に出して90度に曲げる。
②骨盤を前にスライドさせるように重心をかける。
③後ろ側の足の股関節前面が伸びるのを感じながら30秒キープ。
反対も同様に行う。

産後のお悩みはプロに相談
痛みや違和感があっても育児に追われ、なかなか自分では改善しづらいですよね。そんな時は私たち専門家にお任せください。体を支え、様々な動きを生み出すとても重要な股関節。生涯にわたって良い状態で使い続けるために1人1人に合わせた対応を一緒に考えていきましょう。

