産後は、出産時の傷の痛みに加え、慣れない育児や授乳でのストレスなど、ママさんたちからは様々な「痛み」の相談をいただきます。出産後のお体の悩みで意外と多いのが、「足の痛み」です。足の痛みは、痛む範囲は小さく、歩けてしまうので軽視されがちですが赤ちゃんの抱っこ時の立ち上がりや移動の際に踏ん張りが効かないことや、足の痛みをかばって歩いてしまうので、毎日の生活で不便と不快感を感じることがあるかと思います。また、足の痛みから膝や腰の不調を引き起こしている可能性もあるので、注意が必要です。
産後の足首の痛みの特徴
・階段の上り・下りがつらい
・立ち上がる時やしゃがむ時に痛む
・長く歩くと痛みが出てくる
・足のむくみが出ている
・外くるぶしまたは内くるぶしがズキッと痛む
今回はこの足首の痛みについて説明していきます。
「足首痛」の原因とは?
産後の関節はホルモンにより大きく影響を受けます。産後は、腰や膝、手首や足首、指の関節など、身体の様々な関節が痛むことがよくあります。これは妊娠中のホルモンの影響により、関節が緩んでしまうことが主な原因と考えられます。赤ちゃんは、お産の時にお母さんの骨盤の狭い所を通って出てくるのですが、その際に骨盤の骨を押して出てくる必要があります。お産の際、ママさんの関節は、赤ちゃんが産道を通って出てくることに備えて、赤ちゃんが出てきやすくするために緩くなるのです。それに加え、妊娠中の体重増加や筋力低下、お産の時の無理な体勢、いきみなどの影響、長時間の抱っこ、慣れない授乳での体勢の変化など、多くの原因により関節が痛むことが多いです。
産後に足首が痛む主な理由
①ホルモンの影響(関節の緩み)
産後は手首や足首、手足の指の関節など、体の多くの関節が痛むことがあります。これは、妊娠中の女性ホルモンの変化によって関節が緩むことがおもな原因と考えられています。関節が緩むと、足にかかる衝撃を吸収しにくくなり、くるぶしや足の裏に痛みが出てしまいます。
②体重増加による負担
妊娠中は、赤ちゃんや胎盤の重さで、その分体重が増えます。そのため、ホルモンで関節が緩んでいる足首により多くの体重が乗り、負担となります。これが痛みになって出てくることがあります。
③筋力低下による負担
妊娠中は運動量も減りがちです。さらに出産時の入院生活で活動量は減り、筋力が低下していきます。そうなると筋肉は柔軟性を失うので、足の痛みの要因となってしまいます。
④姿勢の歪みによる負担
妊娠中はお腹が大きくなり、体型が変化していきます。体型が変わると重心位置の変化がおこり、姿勢も変わります。この姿勢を産後に引きずると、様々な歪みを引き起こし、痛みに繋がることがあります。
⑤産後の生活による負担
産後、赤ちゃんのお世話をする中で姿勢が歪んでしまうこともあります。片腕抱っこの時間が多くなると、抱っこした側の足首に負担が多くかかります。
左右どちらかの足首が痛むという場合は、姿勢が歪んでいる可能性があります。また、しゃがみ込みや、しゃがんだ状態からの立ち上がりを繰り返し行うと、足首周りに負荷がかかり、痛みの原因となることがあります。
足首の痛みの原因はいくつかありますが、多くのママさんの姿勢に問題がある場合がほとんどです。関節の緩みや体重が増加した状態で、さらに姿勢の歪みが加わることで、痛みに繋がる可能性が高くなります。
「足首痛」放っておくとどうなる?
妊娠から出産にかけて、体重の増加と重心位置の変化によって足周りに負荷が蓄積しています。そのような状態で育児をしなければなりません。育児中は重心が前方や片側に偏りやすいです。そのまま日常生活を送っていると、足首だけでなく、膝や腰にも負担がでて、また痛みが発生してしまうこともあります。足首の痛みは、リウマチなどのほかの病気が原因となる場合もあります。足首の痛みだけでなく、関節の腫れや発熱などの異常が見られる場合は医療機関への受診をおすすめします。
今から自分でできる改善方法とは
産後の足首の痛みは早く解消したいもの。そんな時、自分でできる対処法を知っておくと、悪化する前に改善が期待できます。姿勢や足の使い方を工夫することに加え、ストレッチで足首を整えることが大切です(ストレッチで痛みが増す場合は中止してください)
【姿勢の見直し】
・お腹を前に突き出さないように
・赤ちゃんの抱っこ位置はできるだけ高く
・片腕抱っこはできるだけ左右順番に
・両足均等に重心を置く
・しゃがむ際に足首を深く曲げない
【ふくらはぎのストレッチ】
・壁の前に立つ
・両手を壁につけ、左足を一歩下げて足を前後に開く
・右膝をゆっくりと曲げる
・ふくらはぎが気持ちよく伸びたところで止める
・そのまま15秒ほど伸ばす
・反対側の足も同様に行う
産後の不調はプロに相談してね
関節の痛みに対しては、まずは生活の姿勢を見直してみることが重要で、抱っこの姿勢、立ち姿勢、座り姿勢の工夫が必要です。姿勢が育児の中で崩れてしまうのはある程度仕方がない事なので、その後しっかり姿勢を戻すことが大切です。身体に良い姿勢を覚えさせるには骨盤矯正が近道です。骨盤の状態を整え、正しい筋力の使い方が身についていき、痛みの出にくい身体へとなっていきます。ご自身でのケアに限界を感じたら、ぜひ私たちプロを頼ってくださいね。